プロコンのスティック交換に便利な低融点はんだ!!自作はできる?

低融点はんだ ネットショップ

僕は、コントローラー修理Preludeというネットショップで、ゲーム機やコントローラーの修理や部品の販売をやっております。

 

 

今回は最近、ショップで販売を始めた低融点はんだについての説明をしていきます。

 

 

低融点はんだは基板から部品を取り外すのに非常に便利です。

プロコンやデュアルショックなどのスティックの交換には最適です。

この記事はコントローラーなどを自分で修理をしない人にとっては時間の無駄になってしまいます。

 

低融点はんだについて・・・

・ 安全性に興味がある

・ コントローラーのスティック修理をするので使用方法に興味がある

・ 低融点はんだ(低融点合金)の自作をしてみたい

・ 修理はしないけど暇をつぶしたい

・ 豆知識を付けて自慢したい

上記のような理由がある方は是非読んでください。

ネットショップで売られている物だけではなく、いくつかの低融点合金の紹介もしておりますので自作をお考えの方は参考にしてください。

 

ショップの低融点はんだ(低融点合金)

 

低融点はんだとゲーム機の修理って何か関係があるの?

こういう風に思われる方もいるかもしれませんが、ゲーム機やコントローラー修理をする人にとって低融点はんだは非常に便利です。

販売するきっかけ

ネットショップで売っている低融点はんだは、部品を取り付けるものではなく取り外すものです。

ハート 取り外す

最初は自分で使用するために作っていて、販売するつもりはありませんでした。

しかしショップでコントローラーのアナログスティック基板は販売しています。
この部品の交換作業で低融点はんだが必須なぐらい便利ですので、低融点はんだとスティックをセットで販売することにしました。

性能

低融点はんだとは金属と金属を混ぜ合わせた合金です。

金属と金属

その混ぜあわせる金属の種類や配合量によって、融点(個体が液体に溶ける温度)が変化します。

人体の影響

ショップで販売している『低融点はんだ』は自作品です。

自分自身が一番使用する物ですので、特に安全性には考慮して作りました。

完全防備

使用している金属は以下の物になります。

・ ビスマス(Bi)
・ 鉛(Pb)
・ スズ(Sn)
・ インジウム(In)

これらの金属の合金です。

有害な鉛(Pb)は全体の約15%使用しております。

・ 毒性のあるカドミウム(Cd)を使用していない

・ 鉛(Pb)は15%

 

鉛に関しては一般的に使用されている共晶はんだ(スズ63%鉛37%)と比べても半分以下の量ですので、安全性は問題ないレベルだと思います。

それでも心配な方は窓を開けてはんだ吸煙器を使用することをお勧めします。

基板の安全性(熱による損傷)

基板は熱を加えている時間が長ければ長いほどチップが破損するリスクが高くなります。

焦げた玉ねぎ

それは部品を取り外す時間が短ければ短い程リスクが減ると言うことです。

ショップで売られている低融点はんだは60℃前後で溶けます

In(インジウム)を含まない安価なダルセ合金(融点:96~98℃)と比べて、基板が損傷するリスクが低くなります。

はんだ作業が慣れていない人にとって、この融点の差は大きいです。

価格

ネットショップの低融点はんだの価格は下記のようになっております。

低融点はんだ6㎝ 498円(税込)
プロコンスティック基板2個セット 980円(税込)
プロコンスティック基板2個、低融点はんだ6㎝セット 1280円(税込)
プロコンスティックセンサー1個 150円(税込)
プロコンスティックセンサー2個、低融点はんだ3㎝セット 498円(税込)

別途送料(198円)がかかります。

※ 現在(2022年1月)は他のコントローラーのスティックとのセット販売もしております。
興味のある方はコントローラー修理Prelude、またはコントローラー修理Preludeヤフー店をご覧ください。

プロコンのアナログスティック基板やスティックセンサーのセット販売はお得になっております。

・ スティック基板の交換は約3㎝あれば取り外せます。

・ スティックセンサーの交換は約1㎝あれば取り外せます。
※ センサーは低融点はんだが無くても取り外せないことはありません。

 

少々高価に感じるかもしれませんが

・ インジウム(In)が高価な金属

・ 使いやすい棒状に成形する作業

これらのことを考慮すると現状では精一杯の価格になります。

6㎝あればプロコンのスティックを外すには十分な量なのですが、他の基板修理などでたくさん使用する人はサンハヤトのSMD-H05が良いかもしれません。

低融点はんだの役割

低融点はんだを使うと、基板に付いている部品を安全に取り外すことが出来ます。

低融点はんだが必要な理由

基板に取り付けられている部品は、はんだで固定されております。

部品は1ヶ所で固定されているわけではなく、複数箇所で固定されています。

マザーボード

その固定されている部品を外すには部品についているはんだを全て同時に溶かさないと外れません。

はんだが溶けていない状態で強引に外そうとすると、基板がパターン剥離して部品を取り付けられなくなってしまいます。

パターン剥離とは、部品を固定している場所(ランド)や導線部分が剥がれてしまった状態のことを言います。

タクトスイッチ剝離

 

 

はんだごてだけで複数箇所のはんだを同時溶かすことは出来ません。

何故かと言うと、1ヶ所を溶かした後もう1ヶ所を溶かそうとすると、最初に溶かした所が既に温度が下がり再び(1秒程で)固定されてしまっているからです。

低融点はんだでの部品の外し方

部品を固定しているはんだ低融点はんだが、混ざりあうことで全体の融点が下がります

混ざる絵具

融点が下がるとはんだごてを基板に当てていれば、部品のはんだ部分は溶けた状態のままなので、安全に取り外すことが出来ます。

 

低融点はんだを使用するにはコツが入ります。

・ 適度な低融点はんだの量
(例)
プロコンアナログスティック基板 3㎝
充電コネクター(microUSBなど) 1㎝

・ はんだフラックスを多めに塗る

・ はんだごてを寝かせて当てる
※ 長く当てすぎると基板の部品が損傷するリスクがあります。

これが全てです。

プロコンのスティック交換で使用をお考えの方はこちらの記事【Proコントローラー 初めてのスティック交換(はんだ作業)のやり方】で詳しく説明しておりますので、宜しければご覧ください。

低融点はんだの自作

自分自身で低融点はんだが大量に必要な方は自作することも出来ます。

金属を溶かして混ぜ合わせると低融点の合金が出来上がります。

金属の種類や配合量によって融点が変化

参考のため有名な低融点はんだ(低融点合金)をいくつか紹介します。

● 金属の種類
Bi(ビスマス) Pb(鉛) Sn(スズ) In(インジウム) Cd(カドミウム) Hg(水銀)

名称 融点(℃) Bi(%) Pb(%) Sn(%) In(%) Cd(%) Hg(%)
ダルセ合金 96~98 50 25 25
ウッド合金 70~72 50 24 14 12
セロロー147 61~65 48 25.63 12.77 4 9.6
フィード合金 62 32.5 16.5 51
セロロー136 58 49 18 12 21
セロロー117 47 44.7 22.6 8.3 19.1 5.3
セロロー105 38~43 42.9 21.7 7.97 18.33 5.09 4

上記の表のとおりの配合量で合金を作ると低融点はんだが作れます。

・ In(インジウム)が特に高価です。

・ 融点が低いほど部品を外すには便利ですが、低すぎると常温でも溶けてしまいます。

・ Cd(カドミウム)、Hg(水銀)の入っている物は人体の影響を考えるとお勧めできません。

・ Pb(鉛)は無いに越したことはありませんが、市販されている共晶はんだでも37~50%ほど含まれております。
はんだ吸煙器を使用して十分な換気をしていれば、そこまで神経質になるものではないかと考えられます。

 

各合金のメリット、デメリット

☆ 独断と偏見で自分なりに評価してみました。

※ 性能(部品の取り外しやすさ) 安全性(人体への影響)

性能 安全性 価格
ダルセ合金
ウッド合金 ×
セロロー147 ×
フィード合金 ×
セロロー136
セロロー117
セロロー105 ◎~× ×

 

・ 性能と安全性だけを考えるとフィード合金がお勧めです。しかしIn(インジウム)を多く使用するため高価です。

・ 性能面は劣る安く作りたい方はダルセ合金がお勧めです。

・ 総合的にバランスが良い部品取り外し目的のオススメはセロロー136です。

ちなみにサンハヤトのSMD-H05やネットショップで販売している低融点はんだもセロロー136に近い配合量です。

最後に

如何だったでしょうか?

今回の記事は少しマニアックな話でしたが、興味のある人にとっては有益な話だったのかと思います。

低融点はんだのオススメは・・・

大量に必要な人→自作

多めに必要な人→サンハヤトのSMD-H05

少し必要な人→ネットショップの低融点はんだ

こんな感じです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

コントローラー修理Preludeではゲーム機やコントローラーの修理や、部品なども取り扱っております。

興味のある方はこちらのショップ紹介の記事【コントローラー修理Preludeの取扱説明書(ご利用前にお読みください)】をご覧ください。

コントローラー修理Preludeの取扱説明書(ご利用前にお読みください)
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